設定画面だけで固定IPが構成できるようになりました
UniFi Network Application 11.0.81 のリリースノートに、日本のユーザーが長く待っていた一行が載りました。
Added IPIP WAN support for Japanese IPv4 over IPv6 services.
IPoE(IPv4 over IPv6)の固定IPサービスが、UniFi の設定画面から構成できるようになったという意味です。
先にお断り:これは Early Access(早期アクセス)版の機能です 11.0.81 は Early Access チャンネルで配信されているバージョンで、2026年10月5日時点の一般公開チャンネルの最新は 10.6.106(2026年9月10日)です。本記事の内容を試すには Early Access への登録が必要で、段階的ロールアウトのため登録しても即座に配信されるとは限りません。 引用したリリースノートも Early Access 向けに公開されているもので、一般のユーザーが参照できる公式ページはまだありません。本番環境へ適用するかどうかは、一般公開を待つかどうかも含めてご判断ください。
これまで UniFi Cloud Gateway で IPoE 固定IPを終端するには、別の機器を併用するか、設定画面に存在しない部分に手を入れるしかありませんでした。当社でも前者を避ける方法を実装記録として公開していますが、それが標準機能として提供されたことになります。
当社で実機に設定し、動作を確認しましたので内容をまとめます。
実機で表示されたサービス
WAN の設定画面にある「接続」の選択肢に、「IPv4 over IPv6」 が追加されています。
接続 ○ DHCP ○ 静的 ○ PPPoE ● IPv4 over IPv6
リリースノートの英語表記は IPIP WAN support ですが、日本語UIでの表示は「IPv4 over IPv6」です。 探すときはこちらの名称で見てください。
これを選ぶとサービスのドロップダウンが現れ、実機では次の4つが表示されました。
| Service | 事業者 |
|---|---|
| v6プラス | JPIX |
| OCNバーチャルコネクト | NTTドコモビジネス |
| v6 コネクト | 朝日ネット |
| transix | インターネットマルチフィード |
国内のIPoE固定IPサービスの主要どころが一通り並んでいます。
ただしリリースノート本文はサービス名を列挙していません。該当行は Japanese IPv4 over IPv6 services という総称のみです。上の4つは当社の実機画面で確認した内容であり、公式に「この4サービスへ対応」と案内されているものではありません。バージョンや地域設定によって表示が異なる可能性があります。
なお公式ヘルプ「Configuring IPv6 in UniFi」で名指しされている日本向けサービスは、MAP-E(動的IP)の v6 Plus (JPIX) と OCN Virtual Connect (NTT Docomo Business) の2つで、今回の固定IP(IPIP)についての記載はまだありません。
事業者名は2026年10月時点の表記です。v6プラスを提供していた日本ネットワークイネイブラー(JPNE)は2023年1月に合併してJPIXへ、OCNバーチャルコネクトのNTTコミュニケーションズは2025年7月にNTTドコモビジネスへ、それぞれ商号が変わっています。契約時期によっては旧社名の書類をお持ちかもしれません。
設定項目
サービスごとに要求される入力項目が変わります。たとえば v6プラス を選択すると、次の項目が表示されました。
ユーザー名
パスワード
IPv6インターフェースID
IPv4アドレス
ネットマスク
ゲートウェイアドレス
いずれも契約時に事業者から通知される値です。そのまま入力するだけでトンネルが確立しました。 追加の機器もコマンド操作も必要ありません。
OCNバーチャルコネクト では入力項目が「ホスト名」になるなど、サービスごとに認証方式の違いが反映されています。自分の契約で何を入れるのかは、事業者から届いた通知書を手元に用意してから作業するとスムーズです。
動作確認
設定を適用すると、ほどなくトンネルが確立しました。当社の実機で確認できた範囲は次のとおりです。
- 固定IPv4アドレスでの外向き通信が正常に動作しました
- 外部から見た送信元アドレスも、契約した固定IPv4アドレスになりました
- IPv6ネイティブ通信も並行して問題なく動作しました
設定を入れてから1分程度で通信が開始されました。
動作要件
- UniFi Network Application 11.0.81 以降
- UniFi OS 6.0 以降(Early Access のリリースノートに記載された要件)
ゲートウェイ製品向けの UniFi OS も、2026年10月5日時点の一般公開版は 5.1.33 系です。つまりアプリケーション・OSともに Early Access をたどる必要があります。
11.0 はアプリケーションのデータベースを MongoDB から PostgreSQL へ移行する大型アップデートです(この点はUbiquiti が一般公開の投稿で説明しており、Early Access 以外でも確認できます)。リリースノートによれば、アップグレードには最大20分ほどかかり、適用後にデバイスが再プロビジョニングされるため短時間の通信断が起きる可能性があります。統計の履歴もクリアされるとされています。業務時間外の実施をおすすめします。
また 11.0.81 では全サイトがゾーンベースファイアウォールへ自動移行します。当社で移行前後のルールを突き合わせて確認したところ、許可・拒否の実体ルールに増減はありませんでした(減っているように見えるのはログ出力行の集約によるものです)。これは当社環境での確認結果であり、すべての構成で同じ結果になることを示すものではありません。
これまでとの違い
UniFi Cloud Gateway は、IPoEの動的IP(MAP-E/DS-Lite)には以前から対応していました。一方で固定IPは設定画面に項目がなく、国内ではこれが導入の障壁になっていました。
今回の対応で、次のような構成が不要になります。
- IPoE固定IPを終端するためだけに別のルータを前段に置く
- その機器と UniFi の間で二重NATや経路設計を考える
UniFi 単体で完結するようになったことが、今回の実質的な価値です。拠点をUniFiで統一したいが固定IPが必要、という要件に正面から応えられるようになりました。
注意点:実機で確認した不具合
設定と疎通は問題ありませんが、60分間の連続計測を行ったところ、常時およそ1%のパケットロスが発生していました。
原因は、上流からのRA(Router Advertisement)が届くたびに、UniFi 自身がWANのIPv6アドレスを「出自不明」と判定して一度削除し、すぐに付け直していることでした。付け直しの際にアドレスの重複検査が走り、その1〜2秒のあいだトンネルが送信できなくなります。トンネル自体は再接続しておらず、アドレスだけが作り直されている状態です。
体感に出にくい水準で、Webブラウジングやファイル転送では気づかない可能性が高いものです。影響が出やすいのは拠点間VPNやVoIPなど、UDPを常用する用途です。
この件は計測データとログを添えて Ubiquiti のコミュニティフォーラムへ報告済みで、現在修正を待っている状況です。進展があれば本記事に追記します。
機序としては、自前構成の運用記録で書いた「UniFiがトンネルのローカルアドレスを消す」問題と似ています。あちらは自前のトンネルだったため、UniFiが触らないインターフェースに同じアドレスを併置して回避できました。今回はUniFi純正の実装内部で起きているため、同じ手は使えません。利用者側で回避する方法は、現時点では見つけられていません。
導入を検討されている場合、固定IPが UniFi 単体で構成できるようになった意義は大きい一方で、用途によっては現時点の挙動を把握したうえで判断されることをおすすめします。
複数固定IPへの対応状況
固定IPサービスには複数個のプランもあるため、そちらの扱いも実機で確認しました。
現時点では、複数固定IPには対応していません。
ネットマスクの入力欄があるため /29 などを指定できそうに見えますが、実際に適用するとブロック全体がWAN側のトンネルインターフェースに割り当てられるだけで、LAN側で利用することはできませんでした。
ヤマハRTXやNEC IXといった従来の対応ルータでは、割り当てられたブロックをLAN側インターフェースに設定し、LAN上のホストがグローバルIPを直接保持する構成を取ります。UniFiの「IPv4 over IPv6」の実装は、この「LAN側へブロックを配布する」機構を持っていません。
ただし、UniFiに複数のグローバルIPを扱う仕組み自体は存在します。WANの接続方式を「静的」にすると「追加のIPアドレス」という設定欄が現れ、ブロックを登録できます。さらに各ネットワークごとに、どのグローバルIPを送信元として使うかを選択できます。
静的WAN 「追加のIPアドレス」欄 あり
IPv4 over IPv6 「追加のIPアドレス」欄 表示されない
機構は実装されているものの、「IPv4 over IPv6」接続では提供されていない、という状態です。この点についても「静的WANと同じ機能を IPIP WAN でも利用できるようにしてほしい」という形で、Ubiquitiへ要望を提出しています(要望はUbiquiti側の呼称にあわせて英語の IPIP WAN で提出しています)。
複数固定IPが要件に含まれる案件では、現時点ではUniFi単体での構成はできません。
まとめ
- UniFi Network 11.0.81 で、日本のIPoE固定IPが設定画面から構成できるようになりました
- ただし Early Access 版の機能で、一般公開チャンネルにはまだ降りてきていません(2026年10月5日時点の公開最新は 10.6.106)
- 実機では v6プラス / OCNバーチャルコネクト / v6 コネクト / transix が選択できました
- 契約時に通知される値を入力するだけで、UniFi単体で固定IPが終端できます
- 当社の実機検証では約1%のパケットロスを伴う挙動が確認され、Ubiquitiへ報告済みです
- 複数固定IPには未対応です(固定IP1個の構成でご利用ください)
固定IPが必要という理由だけでUniFiを見送っていた案件が、これで選択肢に入ってきます。一般公開を待ってから採用するか、Early Access で先行して検証するかは、案件の性質に応じてご相談ください。
導入のご相談
当社ではUniFiを用いたネットワーク構築・移行を承っています。IPoE固定IP環境での構成についても、回線の確認から機器選定、設定、切り替えまで、営業を介さず現役のエンジニアが直接ご相談を伺います。
NET INNOVATION までお問い合わせください。お見積りは無料です。
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参考リンク
- UniFi Network Application リリースノート(Ubiquiti)(※この一覧は一般公開チャンネル向けのため、本文で引用した 11.0.81 は Early Access 扱いで表示されません。2026年10月5日時点の掲載最新は 10.6.106 です)
- JPIX 「v6プラス」固定IPサービス(サービスの提供主体と社名の確認)
- NTTドコモビジネス 会社案内(「『NTTコミュニケーションズ株式会社』は2025年7月1日に社名を『NTTドコモビジネス株式会社』に変更しました」を参照)
社名・サービス情報の確認日:2026年10月5日
※ 本記事の動作確認結果は、当社の環境・契約条件での実測です。すべての環境で同じ結果になることを保証するものではありません。
※ UniFi、Ubiquiti および関連する製品名・ロゴは、Ubiquiti Inc. の商標または登録商標です。当社は Ubiquiti Inc. の関連会社ではなく、本記事は Ubiquiti Inc. による推奨・保証を示すものではありません。