「まず自社で入れてみた」——お客様に勧める前に
ネットワーク機器の世界で、ここ数年じわじわと存在感を増しているのが Ubiquiti(ユビキティ)社の「UniFi(ユニファイ)」 シリーズです。「コストパフォーマンスが高い」「1つの画面で全部管理できる」と評判ですが、法人の基幹ネットワークとして本当に使えるのか——気になっている情シス・経営者の方は多いはずです。
そこで私たちNET INNOVATIONは、自社オフィスのネットワークを丸ごとUniFiで刷新しました。お客様に提案する前に、まず自分たちで導入して使い込み、良い点も引っかかった点も正直に確かめる。営業を介さず、エンジニア自身が手を動かして検証する——それが私たちのスタンスです。
この記事では、その実践レポートをお届けします。ネットワーク・Wi-Fi・監視カメラ・入退室管理までを1つのプラットフォームに統合した構成の全体像、移行当日の実際、そして正直な評価まで。UniFiの法人導入を検討している方の判断材料になれば幸いです。
なぜ一式UniFiに決めたのか
直接のきっかけは、それまで使っていたCisco Meraki製品のライセンス更新が迫っていたことです。Merakiは優れた製品ですが、機器を使い続けるにはライセンスを更新し続ける必要があり、そのコストは決して小さくありません。
加えて、UniFiは以前から気になっていた製品でした。「お客様に提案する前に、まず自社で検証・運用してみたい」という狙いも重なり、この機会に一式まとめてUniFiへ移行することを決めました。
正直に言えば、「安いけれど法人で本当に大丈夫なのか」という不安がまったくなかったわけではありません。価格なりの部分があるのは事実です。ただ、実際に触ってみると、ファームウェアのアップデートが頻繁で、ユーザーからの要望が実際の機能として実装される余地もある。むしろ「育っていく製品」であることは、安心材料だと感じています。
何を、どう入れたか——構成の全体像
今回の構成を、データの入口から末端まで役割で並べると次のようになります。専門用語は後述の補足にまとめたので、まずは「何がどんな役目か」だけつかんでください。
| 役割 | 機器 | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| 司令塔 | UDM Pro Max | ネットワーク全体とカメラ・入退室を束ねる中枢 |
| 幹線・給電 | UniFi Switch Pro HD 24 PoE | 各機器をつなぎ、電源も供給するスイッチ |
| 無線 | U7 Pro XG(Wi-Fi 7) | オフィス全体をカバーする高速Wi-Fi |
| 監視カメラ | G6 Pro Turret ほか | 出入口・執務室を録画 |
| 入退室 | Access G3 Reader Pro | 顔認証・NFCでドアを解錠 |
ポイントは、これらすべてがUDM Pro Maxという1台の中枢にぶら下がり、1つの管理画面で操作できることです。ネットワークもカメラも入退室も、別々のアプリや別々のベンダーを行き来する必要がありません。
エンジニア向け補足:ネットワークの構成詳細
当社は光クロスの固定IP8個契約です。IPoEの終端をUDM Pro Maxで直接行うつもりはもともとなかったため、IPoE終端には NEC UNIVERGE IX2310 を使い、その配下にUDM Pro Maxをぶら下げる構成としました。
移行前は Meraki MX95 + Cisco C3560CX-8XPD + C1000-24FP の構成で、マルチギガが必要な機器はC3560CXに、その他の端末やPoE給電機器はC1000に収容していました。今回のUniFi移行で、これらのCisco/Merakiスイッチはすべて撤去し、UniFi Switch Pro HD 24 PoE(USW-Pro-HD-24-PoE)1台に集約。マルチギガと高いPoE予算に対応した上位スイッチのため、従来2台で分担していた収容を1台でまかなえています。
無線APは Meraki MR44 → U7 Pro XG、監視カメラは Meraki MV32 → G6 Pro Turret に置き換えました。
移行当日——実作業はわずか4時間
大がかりな入れ替えに聞こえるかもしれませんが、実際の移行作業は4時間ほどで完了しました。事前の検証・構成設計・設定にじっくり丸一日かけた上で、当日は組み上げた設定を適用していくだけ、という段取りです。
ネットワークにある程度詳しい方であれば、検証から移行まで数日で終えられる感覚です。「全面刷新」と身構えるほどの負担はありませんでした。
唯一ハマったのは「SwitchBotが8時間で切れる」問題
移行そのものは拍子抜けするほどスムーズでしたが、一つだけ引っかかった点があります。
移行後、SwitchBotなどの一部のIoT機器のWi-Fiが、8時間ごとに切れてしまうという現象が起きました。原因は、以前から使っていたSSID(Wi-Fiの接続名)をそのまま移行したところ、その設定が「ゲスト用」になっており、ゲスト用は8時間で自動的に切断される仕様だったためです。
解決策はシンプルで、IoT機器専用のSSIDを新しく作り直すこと。これで安定して常時接続できるようになりました。UniFiに限らず、既存のWi-Fi設定を移行する際に見落としがちなポイントなので、これから導入する方は覚えておくと安心です。
ネットワークだけじゃない——カメラ・入退室まで「1画面」の強み
今回の導入で改めて実感したのが、ネットワーク・監視カメラ・入退室を1つのプラットフォームで統合できることの強みです。
たとえば、入退室リーダーが捉えた人物の映像を、そのままカメラ映像として録画・確認できる。カメラ側の顔認識で「登録していない人物」を検知したらアラーム通知を飛ばす、といった連動も、管理画面ひとつで設定が完結します。ネットワーク・カメラ・入退室が同じ基盤の上にあるからこそできる芸当です。
(監視カメラと入退室の詳しい使い勝手は、別記事「UniFiで監視カメラと入退室を1画面に統合した実践レポート」で深掘りしています。)
私たちのように、ネットワークからセキュリティ、入退室まで一貫して手がけてきた会社にとって、UniFiはお客様への提案がしやすい製品でもあります。従来は「ネットワークはこの製品、カメラは別製品、入退室はさらに別製品……」と切り分けて提案していましたが、UniFiなら一括提案も、「まずネットワークだけ導入し、カメラと入退室は後から追加する」という段階的な提案も自在です。縦割りで複数の業者に頼む場合と比べ、この柔軟さは大きなメリットだと考えています。
プロとして、どんな案件に勧めるか
大規模案件でCisco・Fortinet・Juniperといった機器を扱ってきた立場から見ても、UniFiは中規模・大規模の構成でも十分に実用できると感じています。実際、当社では拠点間をNGN閉域VPNで接続するような一般的でない使い方もしていますが、UniFiでもルーティングを含めて問題なく対応できました。キッティング拠点に UniFi Express 7 を1台置いて同じネットワーク(Fabric)に組み込み、現地のインターネットにつないだところ、VPNが一瞬でつながったのも印象的でした。
一方で、正直にお伝えすべき現時点の弱点もあります。日本のIPoE接続のうち「固定IP」タイプ(v6プラス/MAP-Eの固定IP割り当て)に、そのままでは対応できない点です。動的なv6プラス/MAP-E自体はUniFiも対応済みですが、固定IPの割り当て方式には現状ネイティブ対応していないため、当社では前述のように別のルーターでIPoEを終端する構成で対応しています。ここは提案しづらい場面があり、早期の対応を期待しているところです。これから検討される方は、この点だけは注意しておいてください。
(YAMAHA・Ciscoとの詳しい比較や使い分けは、別記事「UniFi vs YAMAHA・Cisco|インフラ屋の正直比較」で解説しています。)
結論——自信を持ってお勧めできる
一通り自社でやり切った今、UniFiはお客様にも自信を持ってお勧めできるというのが率直な結論です。移行はスムーズ、運用の手間も少なく、ネットワークからカメラ・入退室までを一元管理できる。中小企業のオフィス新設や、既存環境の全面刷新には特に有力な選択肢です。
NET INNOVATIONでは、要件のヒアリングから設計・構築・運用まで、営業を介さず現役のエンジニアが直接対応します。UniFi/Ubiquitiはもちろん、Cisco・YAMAHA・Fortinetなどマルチベンダーに対応し、1店舗の小規模導入から多店舗・大規模展開まで、ご予算と要件に合わせて最適な構成をご提案します。
「UniFiが自社に合うか相談したい」「オフィスのネットワークを刷新したい」という方は、お気軽にお問い合わせください。現地調査・お見積りは無料です。サービスの詳細はネットワーク構築のページもあわせてご覧ください。